【臨床心理士の仕事】職種や資格・求人の探し方なども徹底解説!

【臨床心理士の仕事】職種や資格・求人の探し方なども徹底解説!

臨床心理士とは、臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、人の心の問題や悩みを解決するためにアプローチする専門の資格、または資格所有者のことをいいます。 複雑化した社会において、心の問題や悩みを抱える人は老若男女に関わらず増加しており、これらの問題にアプローチする専門家の援助が求められることが多くなってきています。それで、とても需要の高い仕事だといえるでしょう。今回はそんな臨床心理士の仕事について特徴や必要な資格、活躍の場を紹介していきます!

臨床心理士について

Portrait of beautiful female psychologist wearing glasses posing with clipboard in therapy office smiling to camera

臨床心理士とは

臨床心理士とは、臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、人の心の問題や悩みを解決するためにアプローチする専門の資格、または資格所有者のことをいいます。臨床心理学に基づいて心の問題に取り組む職種は他にもあります。例えば心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理相談員などです。しかしこれらには明確な資格があるわけではありません。

臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格検定協会が実施する試験に合格して認定を受けることにより取得できる資格です。日本で最も普及している民間資格で、文部省が1996年以降より実施している全国公立中学校や小学校に「スクールカウンセラー」として派遣されているのも臨床心理士の資格所有者です。

複雑化した社会において、心の問題や悩みを抱える人は老若男女に関わらず増加しており、これらの問題にアプローチする専門家の援助が求められることが多くなってきています。心の問題にアプローチする職種はたくさんありますが、難易度の高い試験に合格して認定される臨床心理士は専門性や信頼性が高いとして多くのフィールドで認識されています。

臨床心理士の数

日本臨床心理士資格認定協会の設立後、資格審査と資格認定が開始されて、第一号の臨床心理士が誕生したのは1988年12月のことです。それ以降、毎年資格審査と資格認定が繰り返され、2018年4月の時点で臨床心理士は34,504名が認定されました。

臨床心理士は5年ごとの資格更新の義務があり、臨床心理士としての5年間の活動の成果のポイント換算により一定の基準をクリアする必要があります。2018年4月の時点での臨床心理士の有資格者は32,354名となっています。

世界の臨床心理士の資格

日本だけでなく世界中にも臨床心理士またはそれに似た資格が存在しています。そのいくつかを紹介します。

日本臨床心理士

韓国臨床心理師

中国心理箱陶師

アメリカPsychologist

カナダPsychologist

ブラジルPsichólogo

オーストラリアProfessional Psychologist

イタリアPsicologoフランスPsychologue

オーストリアPsychotherapeut

ドイツPsychologische

スウェーデンAuthorized Psychologist

イギリスChartered Psychologist

臨床心理士の主な業務内容

Handsome young man is sitting on couch and talking to the psychologist while doctor is making notes

臨床心理査定(アセスメント)

心理検査や観察、面接などの方法でクライアントの特徴を明らかにして、どのようにサポートするかを検討する一連の過程のことを臨床心理査定(アセスメント)と言います。様々な検査があるので、それらに精通していることに加えて、様々な角度から物事を観察できる視点を養うことが必要とされます。これは臨床心理士に求められる大切な能力です。

臨床心理査定は観察法、面接法、心理検査法を用います。心理検査法には性格検査、知能検査があり、性格検査には質問紙法、投影法、作業検査法があります。これらの方法を駆使して、クライアントのあらゆる面についての情報を得るように努めます。問題となる悪い点はもちろんですが、クライアントの良い部分の情報を得るのも臨床心理士の仕事です。

これは精神科医と違う所です。精神科医は患者の悪いところを探して、投薬によって治療をするのが仕事ですが、臨床心理士はクライアントの悪いところだけでなく社会適応を目指して良いところも把握するようにします。それで心理検査に精通しているという点で臨床心理士は資格を持っていない心理カウンセラーなどとの違いを生むことになります。

臨床心理面接

アセスメントの結果に沿って、カウンセリングや心理療法を行うことを臨床心理面接と言います。心理療法には精神分析療法、行動療法、クライアント中心療法といった様々な療法があります。最近では行動療法に認知の面を加えた認知行動療法が主に用いられるようになっています。これらに加えてさらに発展した新しい技法が次々に生まれています。

心理療法は闇雲に行えばいいというものではありません。それぞれの心理療法には長所と短所があるので、それらを組み合わせて最大の成果を出せるようにしなければなりません。それと同時にクライアントの負担にならないよう節度をもって最低限の検査を行うようにしなければなりません。

臨床心理学的地域援助

ここでいう「地域」とはクライアントが関わる「コミュニティ」のことで、これには「家族」、「友人」、「学校」、「職場」、「地域住民」などが含まれます。クライアントが一人では解決できない問題を、コミュニティに働きかけて援助する活動のことを臨床心理学的地域援助といいます。こうして周囲にも働きかけた援助を行い、必要であれば生活環境の改善の提案を行うこともあります。

通常はクライアントが相談室にやってきて、そこでアセスメントなどを進めるわけですが、臨床心理的地域援助の場合は臨床心理士が地域に出て行き積極的な働きかけをしなければなりません。これを「アウトリーチ」といい、ただ待つだけではなく相談室外でも積極的に業務を行うことが求められます。

臨床心理学調査・研究

より多くのクライアントを確実に援助できるよう、臨床心理的調査や研究活動をすることによって知識とスキルの向上に努めるのも業務の一部になっています。個々の事例を対象にする研究に加えて心理療法の実証的研究なども重視されています。これらの調査・研究活動は臨床心理士が行うすべての業務の下地になるとても大切な活動です。

臨床心理士の資格は満5年ごとに資格更新が義務づけられています。それで資格を保持するためには通常の臨床活動と並行して職能団体や学術研究団体などにおいて研究活動を継続的に行う必要があります。調査・研究は有資格者が知識とスキルを向上させるとともに、資格の保持にも関わる大切な業務のひとつであるといえます。

臨床心理士の活躍の場

Shot of a young child psychologist talking with a boy

臨床心理士の活動領域は多岐にわたり、私たちの周りにもいる身近な存在となってきています。どのような職場で活躍しているのでしょうか。

教育分野

スクールカウンセラー、教育相談員、または保育カウンセラーとして公立教育相談機関、教育委員会、小学校、中学校、高等学校、予備校などで働く臨床心理士がいます。

学校ではいろいろな事情で登校するのが難しかったり、集団行動が苦手な生徒や保護者の心理相談に応じます。他にもいじめやひきこもりなどの問題があれば、臨床心理的援助を行います。生徒から直接、学校内での人間関係や学業などの相談を受けたり、保護者や教職員との面談を通して生徒の抱える心の問題をどう解決していったらいいか援助します。

医療・保険分野

病院、診療所、精神保健福祉センター、保健所、保健センター、リハベリテーションセンター、デイケアセンター、老人保健施設、各種医療相談機関・保険相談機関などで活躍する臨床心理士もいます。

病院では精神神経科、心療内科、小児科などで心理相談に応じたり、精神的な病気で苦しんでいる人や病気や怪我で落ち込んでいる人の心のケアをするのが仕事です。たとえばHIV感染者や癌患者を支援したり、身体疾患を持つ患者の心理ケアも行います。患者本人だけではなく家族の心理相談も行います。

精神保健福祉センターや保険センターでは、ひきこもり、アルコール依存症、薬物依存症などの問題を抱えた家族の相談に応じたり、思春期相談なども行っています。また乳幼児の発達相談に関わることもあります。

福祉分野

児童相談所、市町村子育て支援担当課、児童福祉施設、身体・知的障害施設、療育施設、発達障害支援施設、女性相談センター、DV相談支援センター、婦人保護施設、母子家庭支援施設、特別養護老人ホーム、養護老人ホームなどで活躍する臨床心理士もいます。

虐待、非行、障害児などの子どもをめぐる様々な問題に対して臨床心理学的側面から援助します。他にもドメスティックバイオレンスの被害女性や高齢者の問題を援助したりもします。被害者や家族に対して心理カウンセリング、心理教育、心理コンサルテーションなどを主に行います。

産業・労働分野

企業や事務所の相談室、メンタルヘルス対策支援センター、地域産業保健センター、外部従業員支援プログラム提供機関、ハローワーク、障害者職業センター、各種労働相談機関、産業相談機関などで活躍する臨床心理士もいます。

職場でのメンタルケアの重要性がうたわれるようになり、さらに労働者の心身の安全配慮義務が明文化されています。そのため社内に「相談室」を置いて労働者が気軽にカウンセリングを受けられるようにする企業も増えています。そこで労働者本人の心理カウンセリングや、管理職、上司、人事労務担当者への助言・提案を行ったりします。また休職者が復帰できるよう心理カウンセリングを行ったりもします。

司法・矯正分野

家庭裁判所、少年鑑別所、保護観察書、児童自立支援施設、少年院、拘留所、刑務所、少年刑務所、科学警察研究所、科学捜査研究所、科学捜査機関、警察相談窓口、犯罪被害者等相談窓口など各種司法相談機関や矯正相談機関などで働く臨床心理士もいます。

少年院や刑務所の受刑者に対するカウンセリングをします。受刑者の社会適正や再犯防止に向けて臨床心理学的面接などを行います。最近では犯罪が巧妙化、または猟奇化しているため、犯罪捜査は多角的に行う必要があります。それで科学捜査機関にどプロファイリングなどを行うこともあります。

どうすれば臨床心理士になれるのか

Teenage girl studying reading book at home concentrating looking down

臨床心理士になるためのステップ

まずは特定の大学院を卒業して、受験資格を得る必要があります。そして資格試験に合格すると資格認定証書の交付手続きをして登録をします。臨床心理士資格の運営を行っているのは日本臨床心理士資格認定協会が行っています。当協会が定めた受験資格がありますし、試験に合格した後は、臨床心理士の資格認定と日本臨床心理士名簿一覧に登録されることによって公認された臨床心理士になります。

臨床心理士の受験資格

臨床心理士受験資格の基準にはいくつかのパターンがあります。

1.第1種指定大学院を修了 全国に155校ある指定大学院を修了すると、すぐに臨床心理士試験が受験可能になります。

2.第2種指定大学院を修了&1年以上の実務経験 第2種指定大学院は10校あり、そこを終了したのち実務経験を1年以上積むと受験可能になります。この実務経験ですが、心理相談員やカウンセラーなどとして有給で働いた経験のことを指しているため、ボランティアなどは認められていません。

3.臨床心理士養成のための専門職大学院を修了 専門職大学院というものが6校あり、「臨床心理学専攻」などの専門職学位課程を終了すると臨床心理士試験が受験可能になります。

4.医師免許取得者で、取得後に心理臨床経験2年以上を有する

5.諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴を持ち、さらに日本国内での心理臨床経験2年以上を有する

臨床心理士試験について

臨床心理士試験は「資格審査」と呼ばれていて、毎年10月に筆記試験(一次)、11月に口述面接試験(二次)が実施されます。そして12月中旬に合格発表が行われます。

筆記試験はマークシート方式で100題ある「多岐選択方式試験」があり、この点数が二次試験に進めるかの基準になります。「論文記述試験」は心理臨床に関するテーマが1題で、1001~1200字以内で所定の解答用紙に記述します。これは一次試験の合否には影響しませんが、最終的な合格判定の資料として使われます。

口述面接試験は受験者1名に対して複数の面接委員によって行われ、専門知識などの有無に加えて、人間関係能力、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度が備わっているかを見られます。

臨床心理士資格審査最終合格率は60%ほどです。

臨床心理士に向いている人の適性

Beautiful young psychotherapist is making notes, looking at camera and smiling while standing in office

コミュニケーション能力

クライアントとの対話が主な業務になるため、コミュニケーション能力は必須です。相手の言ったことを正しく理解する能力はもちろん必要ですが、悩みや問題を抱えたクライアントが最初から心を開いてすべてを語ることはあまりないでしょう。そこで、話しやすい環境を作ったり、言葉の裏にある感情などにも敏感である必要があります。

観察力

カウンセリングの成功は観察力によっても大きく左右します。会話で何を言ったかだけでなく、クライアントの表情や仕草も観察して、気持ちの変化などに気付くかどうかが大切になってきます。ちょっとした様子の変化を見逃さない観察力が必要です。

精神力

時に難しい事例を扱い、何度もカウンセリングを繰り返す必要がある場合もあるため、精神力を使います。冷静に対応して、自分の感情をしっかりと押さえる精神力が必要になります。

向上心

臨床心理士は、一度資格を取れば一生有資格者というわけではありません。5年ごとに資格の更新をしなければならないので、一生勉強し続けなければなりません。専門知識を取り入れることには時間がかかりますし、新たな研究が進んでいるので、常に学ぶことがある分野です。

臨床心理士の需要と求人

Professional psychologist conducting a consultation

心の問題を抱えたらカウンセリングを受けることがだんだんと一般的になってきている日本において、臨床心理士の需要はこれから高まっていくことが予想されます。さらに複雑化した社会の中で心の問題や悩みを抱える人がますます増えてきています。専門的な技法を用いて心の問題にアプローチする臨床心理士の活躍の場は広がっているのが現状です。

臨床心理士は国家資格ではないものの、この分野においては最も権威のある資格とされています。国家資格として「公認心理師」が創設されましたが、まだ不透明なことが多く、臨床心理士のほうが現時点での認知度は高いといえます。

需要があるにも関わらず待遇面での不安があることが指摘されています。経験がものをいう職種なので、新人の臨床心理士が常勤で就職するのは難しいようで、非常勤の時給制で働くのが一般的です。スクールカウンセラーとして働く場合、時給は5000円前後の水準とされていますが、勤務の時間制限が設けられているため、実際の勤務形態が週に4~8時間と少なく、収入はワーキングプア水準になってしまうケースが多いようです。

他の仕事と掛け持ちしながらやっていく人が多いようですが、最初は経験を積むことに集中して、新たなチャンスをつかめるようにしておくといいでしょう。

まとめ

Beautiful female psychologist is doing the Ink blot test with her handsome client

人の心の問題や悩みを扱う非常にデリケートですがとても大切な専門職である臨床心理士について調べてみました。複雑化した世の中で、心の問題を抱える人が増えているこの頃ですが、優秀な臨床心理士が増えてカウンセリングの質が上がるといいですね。資格取得はハードルが高く簡単ではありませんが、臨床心理士が取得できる学科や研究科を選択して、ぜひ挑戦してみてほしいですね。

国家資格ではないため、収入などの面で不安がありますが、これからも必要とされる分野で活躍できる資格なので、今後臨床心理士の価値が高まり、目指す人が増えるといいですね。

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